水無瀬殿関連遺跡発掘調査平面図集成

作成担当者;長宗繁一
(元京都市埋蔵文化財研究所)

集成作業の主旨

 当集成は、科研費『後鳥羽院政期の院御所を基軸とした平安京と近郊の政治空間に関 する研究』 (研究課題/領域番号 21K20042 研究種目 研究活動スタート支援 配分区分 基金 審査区分 0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野 研究機関 大阪大学 研究代表者 豊田裕章 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (00880262) )に伴うデータ作成作業(遺構平面図集成)として実施したものです。

 今回採用した集成方法や公開方法については、既成のものがほとんど無く、将来に向けての先駆的な研究の段階であることをご承知おきください。報告書のPDF化公開時点でもいろんな意見がありましたが、今回の公開方法についても当然賛否両論があることをご了解のうえ、各自の判断でご利用ください。

 また、「埋蔵文化財は国民共有の貴重な財産」のもと、発掘成果や報告書の活用利用について文化庁は広範な積極的な活用をうたっていますが、著作権等については各調査機関(報告書発行団体)にあり、利用に際しては留意することが必要です。各団体の判断や事務的処理も個々異なったものとなっていますので、疑問のある場合は行政担当機関ないしは各発行団体に問合せをお願いします。

 膨大な発掘調査情報をどのように可視化し、何時でも誰もが何処でも学べ、利用でき、あらゆる分野に活用できるシステム化研究が進むことを期待するところです。他方で、研究の発想は個々個人によってスタートしますので、パーソナルでも利用でき公開できるシステムも並行して考える必要があります。当然、調査や研究者のみを対象としたものではなく、広く開かれたものでなくてはなりません。

ご注意

 当集成作業で作成したデータ利用は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスCC-BY -SA 相当としますが、ご利用に際して使用者(利用者)が受けたいかなる損害等について、作成者は一切その責任を負わないものとします。

 また平面図などのデータを利用される場合は、出典の明示ないしは報告書原典がわかるようにしたご利用をお願いします。

集成対象報告書について

 水無瀬殿跡については、現状その範囲や分布状況、時期的変遷を調査研究途中で明確とはなっていません。したがって、この集成は島本町内で実施された発掘調査の報告書全体を対象として実施しました。この報告書に掲載された平面図のうちから選別し集成しました。収録は、2022年10月以前で確認収集できたものとしましたので、ご了承ください。各平面図の出典は、「調査一覧データ 」をご覧ください。

調査平面図の可視化(基盤情報化)について

 従来遺跡の研究にあたっては、各報告書の平面図を継ぎ接ぎし、これを目的に応じて必要な部分のみをトレースし集成図としたものが大部分でした。したがって、個々に解釈された図ができあがったり、スケールや継ぎ接ぎの間違いがあっても検証がむつかしい状況となっていました。

 これらを解消するためには、個別の段階で平面図をデジタル化し閲覧でき、さらにデータも共有できるものとしなければなりません。相互に共有利用することで、位置関係などの図の誤表示に関する部分を互いに検証でき、修正などの処理が容易く実施でき、修正情報もすみやかに周知できることにつながります。

 そのため報告書平面図のデジタルデータを一様に表示でき、誰もが自由に使える汎用ソフトが必要となってきます。今回はGoogleEarth(他の類似ソフトでも利用可能)を利用する方法で実施しました。そのためデジタルデータをKML型式で作成しました。集成する平面図をすべてデジタルトレースするには多くの労力が必要となりますので、今回はあらかじめIllustratorで簡易的に自動トレースを行いこれをGISソフト(QGISなど)を利用しKML型式で保存し、個別のデータとしました。これを基盤情報とし、GISソフト(QGISなど)で国土地理院などの地理基盤情報などと重ね合わせ集成図を作成しました。これで、任意の範囲を、任意のスケールで、調査平面図や地形図や等高線などと自由に重ね合わせた精度の高い図を簡単に作成することができるようになりました。従来の手作業による誤差の拡大から開放されることにもなりました。

遺跡復元情報の可視化

 上述の作業に続いて、個々の平面図を集成した上に建物や区画などの復元情報を重ねたデータを作成し、これもKML型式で公開することで、誰もがその復元根拠と正確な位置情報を共有することができることとなります。より広範囲な情報作成を可能にしたり、全国各地の遺跡との比較研究を格段に効率化できることにつながります。まさにミクロからマクロの世界を連続して見ることのできることにもなります。現状ではできていませんが、将来的には、個別の遺構情報やその中の出土遺物情報とも連動させることで、その活用範囲は格段と広がっていくことになります。

 また、最近進展しています3D化システムを採用すれば、多様な情報を人力に頼らず高精度の空間情報を短期間に得ることができるようになります。これは埋蔵文化財のみではなく、建造物などあらゆる有形文化財に活用でき、立体位置情報を必要とする文化財全体をデジタル世界でつなぎあわせて閲覧できることにつながっていくこととなります。ひいては、分野を超えた活用や観光情報にもつなげることが可能となってきます。

平安京跡データベース

 こうした実例として2021年に立命館大学アートリサーチセンター・歴史防災研究所にて作成された『平安京跡データベース』(ESRIジャパンのArcGISを使用)があります。これは平安京跡に関係する膨大な調査成果情報をどのように可視化し、誰もが何時でも何処でも利用できるものとできないかとの課題に挑戦したものです。現状ごく一部の情報しか扱えていませんがご覧いただければ幸いです。アクセスして表示されるまでにお使いの環境などにより時間を要しますのでご注意ください。

heiankyoreproduction (arcgis.com)

集成データの閲覧ならびに利用方法について

平面図データのKML(Z)型式のファイルのデータ閲覧には、GoogleEarthなどの閲覧ソフトが必要です。

あらかじめ利用されるパソコンにGoogleEarthをダウンロードしておいてください。他の類似ソフトでも可能ですので、各自の環境でご利用ください。

作成した詳細な内容等については、「成果報告書」を作成しましたのでそちらをご覧ください。

データ類は以下よりダウンロードしてください。

作成データのダウンロード

内容などについては、以下よりデータをダウンロードした後、閲覧してください。

操作手順

以上の各データを自分のパソコンにダウンロードできたら、以下の手順で操作してください。

1 PDF・JPG・CSV型式のデータは各自で利用されているソフトを利用して開いてください。

2 調査位置情報の「ss202209.kmz」を「GoogleEarth」で開いてください。(ダブルクリックしてください。)

1-すると「GoogleEarth」が開き集成した平面図の位置が全て表示されます。

2-その中で閲覧したい場所のポイントを選んでクリックしてください。

3-すると、表のデータが小ウインドウで開き、その平面図の情報を見ることができます。

4-「18.全国遺跡報告総覧 UR1」の欄で報告書がPDFで公開されているものはリンク情報がありますのでこれをクリックするとダウンロードページが開きますので、必要に応じて利用ください。

 ※各報告書のPDF公開は、一覧表作成時以降も順次過去の分も含めて追加されています。

  詳しくは、「全国遺跡報告総覧」

  全国遺跡報告総覧 (nabunken.go.jp)

  にて、「島本町」で検索して確認をお願いします。

5-「33.KML(Z)ファイル名」にデータがある場合は、これをクリックすると平面図がプロットされます。必要に応じて、レイヤーに表示されるデータ名を右クリックし、「名前を付けて保存」すれば自分のパソコンにも平面図データが保存できます。GISソフトを利用可能な方は、これを利用し自分の復元研究などに利用してください。

平面図の線や色は、データを指定しそのプロパティ-スタイル色-スタイル共有ボタンで好みのものに変えることができます。左欄のレイヤーの「地形」にチエックを入れると3Dマップとなりどの方向からも自由自在に眺めることができます。シフトキーをおしながら、マウスの左ボタンを押し動かしてみてください。

 

以上、2-3の表示内容は、「PSS202209.csv」の一覧表の内容を表示させていますので、この一覧表情報も必要に応じて利用ください。

追加資料

データ修正情報

  • (修正データ名) (修正内容) (修正理由) (修正実施日)
  • SS023f3.kmz データ入れ替えました 位置と縮尺がわずかに異なっていた 2024/03/02
  • PSS202209.csv データ入れ替えました リンクの修正 2024/03/04
  • ss202209.kmz データ入れ替えました リンクの修正 2024/03/04
  • 操作手順に解説にあわせた場面画像を追加しました。 2024/03/05
  • SS031-3-1・SS031-3-2・SS031-3-3 調査平面図 リンクの修正 2024/03/09
  • SS011-2 調査平面図 位置修正 2024/03/10
  • SS010-1 調査平面図 SS010f1.kmz欠落につき追加 2024/04/21 
  • 成果報告書本文PDF 表紙修正 科研費名・作成者名の追加 2024/04/24